『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』
同一家族の二世代を対象に、80年以上にわたって続けられてきた長期追跡研究があります。その研究結果は、「まさに困難や苦労こそが、豊かな人生、すなわち幸せな人生をもたらす」と結論づけています。
研究者たちは、家族、パートナー、職場の仲間、友人、さらには見知らぬ相手に対しても、好奇心を持ち、心を込めて声をかけること、そして真摯な注意を向けることが「グッド・ライフ」の土台になると強調しています。
この主張は感覚的なものではなく、確かなデータに裏付けられています。例えば、「50歳のときの人間関係の満足度が高い人ほど、健康で80歳を迎えていた」ことや、「人間関係が良好な人ほど、死亡リスクが低く、生存率を50%以上高めていた」ことなど、さまざまな研究論文から立証されています。
さらに、人間関係に時間と労力を投資することが極めて重要だとされています。これを研究者は「ソーシャル・フィットネス」への投資と呼び、私たちの将来の生き方を左右する最重要の投資だと指摘しています。筆者は、基礎教育で重視される3R(Reading, Writing, Arithmetic)に、Relationship(人間関係)を加え、4Rへと拡張すべきだとも提案しています。それほどまでに、人との関わりは人生に深く影響を与えるのです。
イスラームと「人間関係の大切さ」
クルアーンにはSurah Baqarah, Ayat 177に加えて下記の節もあげています。
Worship Allah and associate nothing with Him, and to parents do good, and to relatives, orphans, the needy, the near neighbor, the neighbor farther away, the companion at your side, the traveler, and those whom your right hands possess. Indeed, Allah does not like those who are self-deluding and boastful.
(Source: Surah An-Nisa, Ayat 36)
アッラーを崇拝しなさい。そして、何ものもかれに(神として)並べることなく、両親に善行を施しなさい。また、近親者、孤児、貧しい者、近隣の隣人、遠くの隣人、同伴者(協力者、仲間)、旅人、あなたがたの右手が所有する者(奴隷や使用人)にも(善行を施しなさい)。本当にアッラーは、うぬぼれて高慢な者を好まれない。
(引用元:ニサー章 36節)
人間関係への投資は、科学だけでなくイスラームの教えにおいても重視されています。クルアーンには人とのつながりを大切にするよう繰り返し述べられ、ハディースでもその重要性がはっきり示されています。
例えば、預言者ムハンマド(彼に平安あれ)は次のように述べています。
The Prophet (peace be upon him) said: “Anyone who cuts off relationship from his nearest relatives will not enter Paradise.”
近しい親族との関係を断ち切る者は、誰も天国に入らないだろう。
(Source: Sunan Abi Dawn 1696)
Allah’s Messenger (peace be upon him) saying, “whoever desires an expansion in his sustenance and age, should keep good relations with his Kith and kin.”
誰でも、自分の糧(生活の資)と寿命の増大を望む者は、親族との良い関係を保つべきである。
(Source: Sahih al-Bukhari 2067)
Allah will help His slave so long as His slave helps his brother.
アッラーは、しもべが自分の兄弟を助ける限り、そのしもべを助けられる。
(Source: Sunan Ibn Majah 225)
クルアーンやハディースでは、親族との絆を維持し、投資することは信仰の重要な柱の一つとして説かれています。一方で、最新の科学的探究においても、「良好な人間関係が私たちの幸福や健康に直結する」という事実が次々と明らかになっています。
科学的研究とイスラームの教えは、一見すると別の領域のように見えますが、人間関係が幸福や健康に深く関わるという点では、両者は驚くほど同じ答えにたどり着いています。もちろん、科学とクルアーンやハディースの関係性については、まだ研究が十分とは言えません。しかし、今後さらに多くの研究が進むことで、両者がより近い結論へと収束していくと強く感じています。
本ブログでは、最新の科学的知見をもとに、クルアーンやハディースとの共通点や学びも交えながら、読者の皆さまの人生に役立つ情報を発信していきたいと思います。